アルプスをつなぐ街で~八木たくまの伊那日記

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平成28年6月議会一般質問のご報告①認可外自然保育園への支援制度を

こんばんは。

昨日八木が登壇した6月議会一般質問。
気合で音声データを起こしました!!テーマごとに、2回に分けてご報告します。
まずは、自然保育に取り組むNPO「はらぺこ」の意義と、市としても支援を検討すべきでは?という内容です。

自然保育については、近年全国的に注目が集まっています。「森のようちえん」という呼び名が一般的ですが、都会の親にとって、移住先を決める上で大きな要素になっています。加えて、多くの研究者が幼児期の教育が人生を左右することを指摘しており、欧米では「引きこもりやニート、自殺、生活保護、犯罪などの社会問題を防ぐ上で幼児教育に投資することが最も効率が良い」という認識が広がってきています。大人になってから支援はものすごく時間も労力もかかるため、幼児期の教育に資本を投下することが、行政として最もコストがかからない‐という考え方です。

日本では、保育園は「働くお母さんのための行政サービス」との観点が強く、東京と違って公立の園がしっかりと整備されている伊那市では、認可外の保育園に対しては「勝手にやってるんだから行政の支援は必要ないでしょ」との姿勢。でも、上記のように移住促進対策として、そして引きこもりや犯罪など将来的な行政コストを抑制する上でも、もっと自然保育に取り組む「はらぺこ」のような認可外保育園に対する支援を検討すべきではないか‐という主張です。

今回、僕がぶつけた内容は大きく4つ

①「はらぺこ」の保育の素晴らしさ。移住促進の観点からも、将来の行政コストを下げる意味でも、認可外自然保育園をもっと活用すべきだ
②過去にも「はらぺこ」から支援に関する要望があったが、実現していない。その理由は?
③県が自然保育園に対して支援制度を作る意向を示しており、伊那市もそれに乗っかるべき
④はらぺこでは健康診断も自分たちで行っており、市で支援できないか

という内容です。

市の答弁をまとめると、
①に関しては「素晴らしい保育だ。でも公立園も自然保育に取り組んでいる」。
②は「一部は実現している。それ以外は文書で要望されていないためわからない。そもそも、保育行政は働く親のためのものであり、親も参加して保育に取り組んでいるはらぺことは役割が違う」。
③は「県が具体的に出してきたら検討する」
④は「他の私立園も独自でやってもらっているため、ダメです」
というものでした。

自然保育は、これからますます重要になっていくでしょう。怪我などのリスクを避けざるを得ない公立園では、できない保育ができます。さまざまな意見があるかと思いますが、みなさんの声を聞かせてもらいながら、今後も市と議論していきたいと思います。

「はらぺこ」のすばらしさは、こちらをご覧ください→「保育園落ちた日本死ね」の対極があった。「はらぺこ」卒園式に感じた、日本の都市と地方の問題の根本とはhttp://yagitakuma.exblog.jp/25443137/

以下に議場でのやりとりの全文を掲載しておきます。誤字脱字はご容赦ください(..)
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【自然保育に取り組む認可外保育園への支援制度を】

(八木)
豊かな自然の中で屋外体験活動によって心身を育む自然保育「森のようちえん」が、全国的に増加傾向にあり、注目が高まっています。ヨーロッパで生まれた幼児教育で、自然の中で、子供たちの主体性を重視し、子供たち自らが考え行動できるように、大人が見守りながら育む教育です。昨年度の長野県の調査では、自然保育団体の数は、全国で150を超えました。長野県内には16の団体があり、全国トップです。伊那市内には、東春近にNPOによって運営されている「はらぺこ」があります。私が「はらぺこ」の保育に初めて触れたのは、昨年3月。卒園式に出席したときのことでした。

それまではなんとなく、自然の中で遊んでいる保育園なんだな、という認識でしたが、本当に衝撃を受けました。拠点は、小さな民家を改装した園舎。1人1人の子供に、大人たちが真剣に向き合っている。子供たちは、全員がものすごくエネルギッシュでした。普段は森の中を走り回り、自分たちで遊び方や遊び道具を見つけ、たくさんの自然の不思議と出会っている。それを、大人たちが見守っている。本当に手のかかるはぐくみを、保育士と親が協力することによって実現していました。
卒園式の卒園証書は、一人ひとり文面が異なる手書きでした。その子が自然からどんなことを吸収し、どんな成長をしたかが、つづられていました。
ある男の子の卒園証書の文面をご紹介します。

「あなたは山の遊び舎はらぺこで
雨の日も風の日も雪の降る日も
そして晴れた日も
四年間元気に おもいきり遊びました
あなたはまるで野うさぎのように
駆けてきて
幼き者を苦境から救い出し
五月に吹く風のようにすがすがしい気持ちを
みんなに分け与えました
みんなあなたが大好きです
四年間
どうもありがとう」

これだけでも、どんなことが行われているのか、イメージが湧くのではないでしょうか。もちろん、伊那市内の公立保育園も、「がるがるっこ」の取り組みに象徴されるように、野外体験は重視しています。ただ、「はらぺこ」の取り組みは、自然保育として全国的にみても非常に注目されるものであると言うことはできると思います。

そこで市長にお聞きします。「はらぺこ」に対して、伊那市としてどのように評価しておられますか。

(市長)
はらぺこの保育、自然の中で思い切り遊ぶ。自然の中の素材で工作をしたり、田んぼや畑を使った食育、子供たちが主体的に活動している保育、非常にいい保育をしていると評価している。公立でも、同じように自然の中で体を動かす。自然を通して面白がる、不思議がるといった「がるがるっこ」にも力を入れている。はらぺこは平成17年4月からのようでありますが、自然の中でのびのびと子供たちをはぐくみたいという願いの中で始まり、不安や孤独を抱えた親が増える中で、親も保育にかかわるという取り組みは、保育の一つのあり方だと考えている。

(八木)
公立でも同じような体験を重視していると思うが、「はらぺこ」の保育からは、別の点も見えてきました。
先ほどの卒園式とは別の日にふらりと訪れてみたときのことです。園では屋外で薪を焚き、お昼ごはんを作る真っ最中でした。まだ足元もおぼつかない最年少の子供さんも、一生懸命小さなナイフを持って、タケノコや自分たちで採ったセリを切っている。私は「うわー、手を切りそうだ」とヒヤヒヤしました。そんな私に、手助けしていた保護者の方が言っておられました。「手を切っちゃうこともあるけど、そうすれば次からすごく注意するようになる」と。
子供たちのことを考えると、少しのケガも、体験することが重要であることはこの議場にいるみなさんなら実感するところだと思います。かつては、みんなそうやってケガをしながら育ってきました。しかし、今の時代はそうはさせてくれない。少しのケガでも、服を汚されるのもイヤだと感じる親御さんもおられます。そこに、公立の保育園の難しさもあると思います。だからこそ、この「はらぺこ」の取り組みの意義が見えてくるのではないでしょうか。多様な保育を選べるこの伊那市の環境は、子供を育てる親にとって、ものすごく魅力的なはずです。

ここに、東京のコンサル会社「NTTデータ経営研究所」が今年2月に出した調査結果があります。首都圏を中心に、都市部に暮らす子育て家族に移住の意向を聞いた調査です。大きな結果として、「子育て世代の移住定住施策として効果が高いのは、自然体験を重視した保育・教育である」、となっています。
この中で、子供の自然体験が不足している、と認識している親は、約3分の2に上っている。地方への移住を検討したいと考えている親は、4割以上。そのうち子供の入学前までを希望する人は約15パーセントもいます。移住を考えるきっかけとして最も多かった理由は、「子育てのため」が約3割。そして「森のようちえん」への関心を持っている親は、なんと半数以上でした。

この結果を見ると、私たちが最重要課題として取り組んでいる移住促進のターゲットとすべき都市部の子供を持つ、あるいはこれから子供を持つ親御さんは、子供の育ちの場を非常に重視していること、そして森のようちえんに大きな関心を寄せていることがわかります。
「はらぺこ」は、伊那市が進めている移住促進の観点からも、大きな武器となることは間違いありません。

そんな「はらぺこ」ですが、これまでは公的支援はほとんどなく、運営者は「吹けば飛びそうな運営」だと表現しています。年間の運営費は、1000万円足らずです。市として支援制度の構築が必要ではないかと考え、市長に見解をお聞きします。これまで運営団体から市の助成を求める要望が出されていたが、なかなか認められなかったと聞いています。その理由も含めてお願いします。

(市長)
補助金についての要望は、平成20年ごろにあった。県の制度にのっとって児童処遇向上事業を新設し、3歳未満児の保育に対して補助をしている。その後については正式に具体的な要望はないと認識している。そもそも保育園は、伊那市では保護者の就労支援のために推進している。自然のなかで保育を実践するということは同じでも、常時、親子参加での保育を行っているはらぺことは役割は異なっていると認識をしている

(八木)
処遇向上事業は県の制度で、未満児だけでなくすべての園児を対象とできる制度。「はらぺこ」としてもすべての児童に適用してくれとの要望は出していたとそうです。文章で届いていないとのことですが、園としては要望を出している。文書で出してくれとの伝え方がなかったのだと思うが、口頭だから残っていないというのではなく、きちんと対応してほしい。

そして、保育園が母親の就労支援のため、ということだが、別の観点から市として支援する意味を考えてみたいと思います。「保育園落ちた日本死ね」論争が巻き起こったことは記憶に新しいところですが、あの論争でもわかるように、保育園というと、働くお母さんのための行政サービスという認識が強い部分があります。ただ、欧米では考え方が変わってきている。ここに、幼児教育の重要性をわかりやすく解説した本があります。「保育園義務教育化」という本です。

幼児期の教育に力を入れることが、人生の成功を大きく左右し、将来的に行政コストを引き下げる効果があることが解説されている。60年代のアメリカの調査結果です。貧困層の子供たちを2グループに分け、しっかりとした幼児教育をしたグループと、そうでないグループの子供たちの人生を、40年にわたって追跡した。ひどい調査だとも思いますが、教育したグループは、19歳時点での高校卒業率が高く、27歳時点での持ち家率が高く、40歳時点での所得が高く、そして40歳時点での逮捕率が低かった‐という内容です。

幼児期の教育に力を入れることは、将来的な行政コストを下げる効果もあるんです。大人になってから生きる力として重要になる「意欲」や「自制心」は、幼児期の教育に大きく左右されるということです。それが、自己肯定感をはぐくみ、ニートや引きこもり、犯罪や生活保護といった社会問題を減少させる効果があるということです。海外の先進国では当たり前の考え方になっているそうですが、大人になってからの支援は時間もコストもかかる。これはいろんな研究者が指摘していることです。今後、この考え方はどんどんクローズアップされていくことでしょう。

もうひとつの観点。移住促進という部分です。鳥取県智頭町と、岡山県西粟倉村が地方創生の流れの中で非常に注目されている。移住して地域の中心的な役割を担っている人たちの中に、智頭町にある森の幼稚園が移住の決めてとなった‐という方々がいる。ハブとなる人が、智頭町の森のようちえんに子供を通わせたい、との思いで移住している。そう考えると、その象徴的な保育に取り組んでいる「はらぺこ」は、伊那市にとって大きな武器になる。支援を、もっと考えてもよいのではないでしょうか。

いま、県が新たな自然保育支援制度の創設を検討している。早ければ9月補正予算に盛り込まれるとのことで、園児1人あたりの支援額を決め、県が2分の1、市町村が2分の1を負担する仕組みになる予定です。これに乗っかってもいいのでは。既存の処遇向上事業を拡大して、未満児補助を全園児に広げてもいい。安曇野はすでに独自の支援制度を作っている。伊那市も今、舵を切れば、子供のために移住を考える方々に選ばれるようになる上で、イニシアチブをとることができます。
県の補助制度を活用したとして、現状のはらぺこに通っている伊那市内の子供たちは15人程度。伊那市の負担分は100万から200万円程度です。それだけの価値は十分あります。ぜひ検討を。どうでしょうか

(市長)
県から特に通知がなく、内容もわからないが、県の動きによっては連動して確認して検討していきたい。公立でも自然保育に力を入れている。緑ヶ丘幼稚園もできて、自然保育に力を入れている。それを伊那市以外に情報発信していきたい。

(八木)
もう1点、「はらぺこ」では、内科検診や歯科検診についても公的補助が一切なく、ボランティアの医師に頼っているそうです。保護者からは「私たちも納税しているのに」と悲しむ声が上がっている。検診の支援について検討できないか

(保健福祉部長)
公立保育園では検診を行っているが、私立や幼稚園ではそれぞれで対応してもらっているので、市があらためて対応する考えはない
by yagitakuma | 2016-06-16 23:14 | 八木たくまの伊那市議日記 | Comments(0)