アルプスをつなぐ街で~八木たくまの伊那日記

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山小屋管理人の不自然な公募の真相は?12月議会一般質問報告②-2

これ以上、伊那市を恨む人が出てこないようにしてほしい。

伊那市の山小屋4施設の管理人公募問題の続きです。
前回の投稿では、9月議会のやり取りをご報告しました。
前回の記事はこちら→http://yagitakuma.exblog.jp/26240280/

9月議会以降、調査を続ける中で、ある事実が浮かび上がってきました。
それは、「特定の小屋の管理人を交代させるための公募だったのではないか」ということです。

今回の公募では、4施設のうち、塩見小屋の管理人だけが交代し、あとの3施設は続投という結果となっています。

今回の議会では、「1億7000万円を投じて建て替えを行った塩見小屋の管理人を交代させるために、4施設すべての管理人を公募にかけたのでは?塩見小屋以外の管理人は、水面下で続投が決まっていたのではないか?」という疑問をぶつけました。

その根拠は、山小屋を管理する3セク・伊那市観光株式会社の社長である白鳥孝市長が、過去に市の顧問弁護士に対して、「塩見小屋の管理人を追い出す方法はないか」という法律相談を行っていた、という事実が明らかになったためです。

「事実である」という関係者からの複数の証言を得られたため、意を決して12月議会で取り上げました。その法律相談の記録も残っているとのことなので、現在公文書開示請求の手続きを取っています。

私は、管理人を交代させるということについては、反対するものではありません。市の施設である以上、問題があるのであれば変えざるをえない場合もあるでしょう。

しかし、職を失うことになる管理人の立場を考えると、「何が問題なのか」ということについて真正面から指摘し、話し合い、双方が同意した上でなければならないのは当然です。同意が得られず、裁判が避けられないのであれば、市民にその理由を明らかにすべきです。裁判対応にあたるのは市の職員ですし、弁護士費用も市民の負担です。

今回の公募にあたって、伊那市観光株式会社(市長が社長です)は、前管理人に対して「あなたも次期管理人の候補者の一人です」と言いながら、裏では交代させるための方策を練っていた可能性が高い。これは行政が取ってよい手法ではありません。結果的に伊那市民でもある全管理人は職を失い、伊那市を出ていきました。

問題はもうひとつあります。
公募という形をとったにもかかわらず、塩見小屋以外の3施設の管理人は続投が決まっていたのではないか。これは、公的な入札であれば刑法の偽計入札妨害にあたる事案です。

今回の議場でのやり取りは、下記の通りです。

私が「塩見小屋の管理人を追い出すために法律相談をしていた」という事実を指摘すると、市長は全否定したうえで、「どこからそういった話が出てきたのか」と反問権を行使しました(反問権の行使はけっこう珍しいケースです)。

「複数の関係者の証言がある」と返すと、「記憶にない」との答弁に変わり、その後は正面から答えることなく、質問と答弁がかみ合わない-という状態になりました。

このままではいけない。伊那市がおかしな方向に進んでいる。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
【山小屋管理人の公募は適切だったのか】

(略)

(八木)
これまでの経緯を整理すると、伊那市観光株式会社は、それぞれ同じ方が長年担ってきた4施設の管理人を同時に公募にかけましたが、結果として、塩見小屋だけが新たな管理人となり、他の3施設は従来の管理人が継続、という形となった。
この公募には、継続となった3施設の管理人や、塩見小屋の前管理人の従業員を含め10人が応募したと聞いています。一方で、塩見小屋の前管理人は応募せず、伊那市観光株式会社との間で、法廷で争う事態となった。
(略)
今回の公募について「特定の管理人を変えたい意向があったのではないか」と感じている。それは、塩見小屋の前管理人のことです。今回の公募は、塩見小屋の前管理人を交替させたい、との思いがあったのではないか
(市長)
塩見小屋の前管理人とは何度も話をしている。公募するので手を挙げてほしいという話もしている。代えるつもりなら、そのような話はしない

(八木)
塩見小屋の前管理人は、この公募に納得せず、伊那市観光株式会社との間で、法廷で争う事態となりました。その原因について、どのように考えておられるのか
(市長)
前管理人が地位保全の申し立てを行った。伊那支部で却下され、高裁でも却下されている。伊那市観光株が行ってきた経過は全面的に支持されている

(八木)
報道では提訴も検討していると出ていた。(略)
民事訴訟となると、担当部署は大変な労力を強いられる。本来、市民の福祉や利益のために働くべき時間を削られてしまう。そして、弁護士費用や、万一敗訴した場合の賠償金等、直接的に市民の負担が出てくる可能性もある。伊那市観光株式会社への指定管理を認めた議会としても、「なぜこんなことになったんだ」との検証が必要ではないかと感じている。

今回の公募は、今年1月下旬に発表された。9月議会では、「公募の方針を各施設の管理人4人に対し、いつ伝えたのか」とお聞きした。「1月に伝えた」、との答弁があり、「4施設の管理人とも同じタイミングだったのか」、との再質問に、「塩見小屋だけは11月だった」、との回答があった。この2か月の違いの理由は、何なのか

(商工観光部長)
塩見小屋については3か月以上前に伝えないといけないという中で、11月に話をした。その他の管理人については公募の形式等が整ってからお知らせしたと聞いている
(八木)
塩見小屋以外は発表のほんの数日前だったと聞いている。塩見と他の違いは何か
(商工観光部長)
契約書の関係もあり、各山小屋によって開設時期や契約時期が違っていると記憶している。その関係で1月で十分だったと聞いている

(八木)
この2か月のタイムラグは、塩見小屋の管理人を変えたいとの思いがあったのでは
(市長)
そうしたことは一切ありません

(八木)
私は各管理人の肩を持っているのではない。問題があるのであれば、新たな人を探す公募を否定するものではない。しかし、行政は市民の福祉のためにあるものであり、管理人も市民である以上、双方が納得した形になるようにすべき。それができなかったからこそ、このような法廷で争う事態となっていることをまず認識しなければならないと考えます。

この件を調査する中で、新たな事実が出てきた。塩見小屋の建て替えが決まる前の平成23年3月に、伊那市として、市の顧問弁護士に、「どうすれば塩見小屋の管理人を追い出すことができるか」と、法的な相談をしていたとのことです。これは事実でしょうか

(市長)
あるはずがありませんが、それはどこからそういう話になったのか

(議長)
いや、それは市長、反問権じゃないので

(市長が反問権を行使)

(市長)
その話は、どこから出ているのか
(八木)
しかるべき複数の関係者から「事実である」との証言を得ている。記録も残っているとのことで、現在公文書開示請求もしている。「まったくなかった」ということでよろしいですか

(市長)
そうしたことは記憶にありません
(八木)
市長の指示もない、事実はなかったということか
(市長)
事実ということは、塩見小屋を建て替えるということである。それは全力でやってきた。そのあとの管理人については、公募をかけるということになった。これが事実です

(八木)
その法的相談の内容ですが、塩見小屋の前管理人と伊那市観光株式会社との間の契約は、管理人が使用料を払っているため借地借家法の適用を受ける可能性があり、この法律が借主の権利が強いという性質上、正当な理由なしに立ち退きを求めることはできない。出てもらうには、建て替える等の手段しかない、との内容であるとのことです。
このような法的相談について、市長の指示はなかったのでしょうか
(市長)
塩見小屋は、建ててから大変長い時間がたっており、危険な状態だったので建て替えをしようと。それに対して今まで取り組んできた

(八木)
水掛け論になりそうなので、別の観点から申し上げたい。
先ほど申し上げたように、私は公募したこと自体を否定するものではありません。問題があれば、交代していただく必要がある場合もあるでしょう。しかし、それには相応の理由をはっきりと示し、職を失うまでに一定の期間を設けることは当然です。なぜ、このような法廷で争うことになるリスクを押してまで、公募を強行したのか。塩見小屋の前管理人に何か決定的な問題があったのか
(市長)
山小屋の管理人というのは過酷な条件下で管理してもらっている。自然保護、登山者の保護、様々な分野で総合力を要求される。特段管理人に問題があったから変えるということではない

(八木)
結果として、前管理人は公募そのものを認めることをせず、応募せずに法廷での判断をあおいだ。そして職を失い、一家で伊那を出ざるを得なかったそうです。結果的に市民を追い出すこととなった今回の手法は、大きな問題があると言わざるを得ません。

今回、調査する中で、前管理人と市長、及び伊那市や伊那市観光株式会社の間で、どんないきさつがあったかについても様々な意見を聞き、関係がこじれるに至った過程についてもある程度理解はしました。前管理人に問題があったと感じる部分もあります。一方で前管理人の言い分が理解できる部分もあります。

しかし、今回の問題点として、少なくとも、誰が見ても訴訟となるリスクが高いこのような手法を止めることができなかった伊那市の行政組織の在り方に対して、危機感を覚えるのは私だけではないはずです。
問題点があれば、真正面から話し合い、改善を求め、それでも解決せず、やむを得ず法廷で争う事態となったのならば、理解はできます。しかし、真正面から話し合うということが足りなかったのではないでしょうか。

先ほど真正面から答えていただけなかったが、塩見小屋の管理人を変えたい意向があったとして、そして、塩見小屋以外の3施設の管理人が続投する方針が裏で固まっていたのであれば、公募という一見公平な手法、公共事業であれば総合評価方式の入札にも近い手法ですが、これが問題があったということになりかねない。公募に応じた方々は、それぞれ人生をかけるつもりで書類を書き、面接を受けたことでしょう。その方々にどう説明するのか。

そして、前管理人との双方の関係改善に向けて努力しようとした職員もいたのではないかと思います。しかしいつしか誰も何も言えなくなり、組織全体として強権的な手法へと走ってしまったのではないか。そして市民も誰も得をしない法廷での争いになってしまった。ここに、今の伊那市の組織の雰囲気を感じるのは、私だけではないはずです。

最後に申しあげたい。市長の力、権力は極めて大きいということを、もう少し認識していただきたいと思う。私たちが愛する伊那市は、たとえ意見が合わない者に対しても、排除せず、話し合って、優しさを忘れない組織であってほしい。たとえどんな経緯があったとしても、伊那市を恨むような人がこれ以上出てこないようにしてほしい。
以上です
by yagitakuma | 2016-12-16 00:53 | 八木たくまの伊那市議日記 | Comments(0)