アルプスをつなぐ街で~八木たくまの伊那日記

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東京DAYS

少し前のことになりますが、伊那の意外な知名度を知った話。

「兄さん、粋なことやってるねっ」
銀座NAGANOの日本酒イベントの翌昼、新宿区の境目にある神田川のほとりで、初老のオジサンに声をかけられた。無性に飲みたくなった僕は花見の人混みの中で、酒を傾けながら咲き始めの桜を眺めていた。

小さな旅が、僕の心をオープンにしていたのだろう。「チャキチャキの江戸っ子」という雰囲気のオジサンは、自然と隣に座ってくれた。
伊那から来た、と言うと、「伊那の勘太郎」のファンだという。

伊那は、新宿区の唯一の友好都市だ。オジサンは知らなかったらしく、伊那と新宿の縁を説明するとすごく喜んでくれて、ポケットから缶ビールを取り出したオジサンと話が弾んだ。

オジサンは、政治のことも詳しかった。
小池知事のことを「百合子ちゃん」と呼び、東京に吹く新しい政治の風や、若い世代の政治参加への期待感を聞かせてくれた。ものすごく勉強になる。

神田川は、花見スポットらしい。
若者グループ、親子連れ、外国人、犬、老人夫婦…。
お祭りのような人の流れを眺めながら、オジサンとの話は続いた。

オジサンは、極端に身長が低い。
背骨の病気で身長が伸びなかったようだ。
「ほら、俺は障害者だからさ」と言いながらも自身を卑下するわけでなく、前向きだった。

幼いころ、身長を伸ばすためのギブスを装着していたが、その辛さにギブスをはずして生きることを選んだという。それを許してくれた母親や、頑張ってランドセルを背負う自分を支えてくれた友人たちへの感謝の言葉に、オジサンの今の前向きさのルーツを感じた。

「背が低いだけなのに、雇用は障害者扱いさ」。
この国の障害者施策の貧困さにも話が及んだ。

例えば、莫大な費用をかけて設置が進む、駅ホームの視覚障害者転落防止用自動ドア。
「他人が声をかけないから、目が見えない人が落っこっちゃうんだよ」。

その通りだと思った。
他者を思うゆとりがあれば、金をかけなくても事故は防げるはず。
心のゆとり。
都会にいた時代の自分には、あったのだろうか。
今の自分はどうなのか。

オジサンはずっと、近くの都営住宅で母親と二人暮らしだったらしい。
毎年、春には高齢の母を車椅子に乗せて、この神田川の桜を見に来るのが恒例だったという。
その母は数年前の4月、他界したという。

「今もこの時期は、毎年ここに桜を見に来るんだよ」-。

すっかり暗くなり、酔っぱらった二人。
最後にオジサンは、がっちりと握手をしてくれた。

「八木さん、伊那の勘太郎になってくれよ」

そして、勘太郎月夜唄を朗々と歌いながら、すっかり暗くなった人混みの中を消えていった。

人生と思いが積み重なり、街は形作られている。
自分の中で遠かった東京が、少し近くなった。

伊那の勘太郎。
きちんと知ってみたいと思った。
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by yagitakuma | 2017-04-16 19:09 | 日々のよもやま | Comments(0)

ホヤが絶品でした。東北の酒も堪能しました。東日本大震災6年の1カ月が過ぎて

2月にご紹介した、宮城・牡鹿半島のホヤ漁師・渥美貴幸さんの話。震災を乗り越え、伊那との新たな関係が生まれそうなことに、感謝の気持ちを込めて書きました。↓↓
「ホヤ漁師と伊那との新たなつながりが生まれそうです。呑みあるきにぜひ!! 5年ぶりの被災地の旅」http://yagitakuma.exblog.jp/26430484/

今週、貴幸さんがホヤの加工品を送ってくれました。
Facebookだけで告知して、月曜日に「はしば」でお出ししました。
本来定休日の臨時営業だったのに、続々とホヤ目当てのお客さんが。
あっという間になくなってしまいました。

蒸しホヤ、ホヤのアヒージョ、「ホヤたまご」、渥美家手製の塩辛…
水揚げしたばかりのホヤをそのまま浜で加工しているのでしょう、臭みがなく甘みと滋味にあふれ、これほどまで日本酒に合う肴はほかにない!!とあらためて実感しました。

以下は、ホヤにありつけた方々。
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貴幸さんが参加を検討してくれている伊那の日本酒イベント「伊那街道呑みあるき」を支える、伊那谷の日本酒蔵8社の社長さんと杜氏さんたち。この日、組合の会合が偶然はしばであり、味わっていただきました。ご縁を感じます。

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ホヤ目当ての方、偶然ありつけた方。
ほかにもたくさんの方が味わってくださいました。
みなさん、大満足でした。
「ホヤと日本酒、こんなに合うんだね~」との声多数。

感じたのは、伊那の人は変わった食べ物が好きなのではないか、ということ。
虫食文化もあるし、一風変わった「ローメン」も万人受けするものではないけど地域で熱烈に愛されている。ホヤも、驚くほどにファンが多いことがわかりました。
アルプスが育む日本酒の酒どころだからかもしれませんね。

「呑みあるき」で味わえること、みんなとても楽しみにしています。
ホヤ漁師さんの貴幸さんも、日程を調整してくださっています。
決まり次第、ご報告しますね。

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今回送ってくれたホヤの加工品は、手作りの塩辛以外は商品化されているようです。

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ひそやかに続けてきた東北の酒まつりも、今日まで。
東北との美味しく楽しい関係。今後も続けていきます。
by yagitakuma | 2017-04-01 12:59 | 伊那まち はしば | Comments(0)

今日は銀座NAGANO「伊那谷新酒祭り」。当日参加も可能だそうです!!

今日は東京へ。
長野県のアンテナショップ・銀座NAGANOで開かれるお酒のイベント「伊那谷新酒祭り」のお手伝いのためです。
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アルプスの水と空気が育む旨い新酒を通して、東京に伊那谷の春を届ける企画。
3回目の今年は、伊那谷の日本酒8蔵と、伊那ワイン工房・南信州ビール・カモシカシードルの贅沢な顔ぶれです。
地域の食材を使った肴も、伊那の和食の雄・「藤よし」さんと、アスタルプロジェクトの精神的支柱・「クラベ」の渡邊シェフが、和洋それぞれで伊那谷を表現してくれます。

時間等は下記の通りです↓2回とも数席の空きがあるそうなので、予定がない方はぜひ!!ほぼ飲み放題で、かなりお得ですよ。
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時間 プログラム1 16:00~17:30
   プログラム2 18:00~19:30
定員 各40名(立食形式となります)
料金 3,000円
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詳しい内容や申し込みは、こちらから↓
https://www.ginza-nagano.jp/event/17748.html
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伊那谷は、季節外れの雪。この冷え込みが、旨い酒を育みます。
アルプスは、お酒の故郷です。
しっかりPRしてきます。
by yagitakuma | 2017-04-01 09:39 | 日々のよもやま | Comments(0)

言葉の力を、地域のために活かそう。

今宵は、となり街の森の中にある友人宅へ。

アスタルプロジェクトの事業のために、駒ヶ根市在住の写真家、下宮伸一さんをつないでもらう会。心動かされる夜でした。

元プロスキーヤーという異色の経歴の移住者。
伊那谷を選んだ理由が「ダーツ」だったという、ぶっとんだ生き方。
世界的なフォトコンテストでトップ10に入った実力。
地域への熱い思い…。

光の力を計算しつくした、ハッとするようなブライダルや家族の作品は何度も目にしていたけど、その仕事に込めた思いに耳を傾けるうちに、「お茶目な写真家さん」というイメージで捉えていた自分を恥じた。

スタジオで「現場を作る」のではなく、足を運んで「現場でありのままを撮る」ことを何よりも大切にし、真夜中でも命の誕生の瞬間に駆け付ける。それは、記念写真ではなく、報道の現場に近い視点でした。そして、時間をかけて依頼者と向き合っている。

私も報道の現場で、写真を撮り、文章で伝えることを生業としてきました。だからこそ、下宮さんの思いが、まっすぐに伝わってきました。そして自分にできることを、もっと地域のために活かさなければ、と強く感じました。

地域のこと、その魅力や人々の営みを、きちんと文章で視覚化して伝えていくこと。それが、自分の役割の一つなのかもしれない。まだ、この地域はその価値を伝えきれていない。共有しきれていない。

文章の力によって人々がまとまる瞬間や、言葉の力によって会場が一つになる瞬間もあります。それが、地域が動いていく力となるのかもしれない。

特ダネ競争に明け暮れる事件担当ばかりの記者時代でしたが、自分が好きだったのは、人や街に寄り添うような「街ネタ」でした。下宮さんの話を聞きながら当時を思い返し、掲載紙を抱きしめるように喜んでくれた取材相手の顔が、何人も浮かびました。

もっと地域のことを、伝えよう。
「思いを文章にしてほしい」という依頼があれば、ご相談ください。

今日の会場となった友人宅は、近く「シャムロック・コテージ」という名のカフェになります。場所は駒ヶ根市赤穂の森の中。きっと、人と人とがつながる場になるでしょう。
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福ちゃん、ありがとう。

下宮さんの思いと作品は、こちらで見ることができます↓
http://www.simomi.com/index.html
by yagitakuma | 2017-04-01 03:33 | 日々のよもやま | Comments(0)