アルプスをつなぐ街で~八木たくまの伊那日記

yagitakuma.exblog.jp
ブログトップ

売れっ子になれよ恋姫イチゴ

今日は大学の後輩の話を。

彼はイチゴ農家の森本恭平君(30)。
4年前に大手乳業メーカーを退職し、自身も研究室で開発にかかわった信州大学農学部生まれのイチゴで勝負する人生を選びました。会社を辞めて伊那に移住したという意味では先輩ですね。彼は愛知県出身です。

c0283938_22402627.jpg

真っ赤な小粒が目に鮮やかな、その名は「恋姫」(こいひめ)。
国内で生産されるイチゴは、大部分が晩秋から春にかけてが収穫期。世間がケーキだケーキだと浮かれるクリスマスが需要のピークですね。それに対して恋姫は夏イチゴ。そして夏イチゴの中で断トツの甘さだそうです!

一昨日、伊那市高遠にある彼のハウスに顔を出したときに、小さな事務室の冷蔵庫から愛おしそうに出してきてくれました。18m×55mもあるデカいハウスが3つもあるのに、たった20粒。まだ少なすぎて出荷はできないとのこと。ありがたくひと粒いただきました。

初物ってなんだか心がウキウキしますね。ずっと「イチゴの農業にチャレンジしてる」と酒の席で話は聞いてたけど、味わうのは初めてでした。甘さと酸味のバランス。果肉もしっかり!
でも本当の実力はまだまだこれからで、真夏から秋にかけてが最もおいしくなるそうです。

c0283938_22405839.jpg

会うたびに「ちょっとひねくれたクマのプーさん」みたいだな、と思ってしまう。
少しとぼけた顔をしてるけど、ハウス3棟にぎっしり並んだ1万2000株を1カ月半かけて黙々と一人で植えたらしい。

ハウスは廃業した花農家のものを借り受け、設備を整えながら徐々に栽培株数を増やしてきた。とはいえ「まだ1人で食ってくのがやっとっす」らしい。たしかに冬はバイトしてたな…。自分も人生の無謀さには自信があるけど、こいつの根性には負けるなぁ。

「なぜ始めたん?」と聞くと、

「トップとれるかもしれないじゃないすか!!」

確かにものすごく可能性がある品種だと思う。しかも信大生まれ伊那育ちというストーリー性と、「信州」という土地としてのブランドもある。
でもすぐ後に
「農業が好きなんすよ」と、ちょっと照れたように言い直してました(笑)

c0283938_22414536.jpg

恋姫はいま、森本をはじめ、僕たちの共通の農学部の先輩ら3農家が生産しています。まだまだ販路拡大はこれからです。知名度が上がり、生産量が増えれば、雇用や観光にもつながるはず。県外のスイーツの店やパーラーなどでも評価が徐々に高まっているとのこと。頑張ってほしい!!

関心を持たれた方は、takuma.yagi.ina@gmail.comまでご連絡をいただければ取り次ぎますので!

それではまた。
# by yagitakuma | 2013-06-20 22:45 | いいね!伊那市!! | Comments(0)

ジェイソンマン‐黙々と薪を割る日々

c0283938_9511034.jpg

森林整備に取り組むNPO「森の座」の薪づくりイベントで手に入れてきた丸太の山。
今週、一気に薪にしました。
アルプスに囲まれた伊那谷も、日中は真夏の陽気になってきました。
汗だくになりながら丸3日。黙々と、修行のように…

c0283938_9541692.jpg

遅ればせながら、チェーンソー用のガソリン容器や混合ガソリンを作るミキシングボトルなども購入。
2サイクルオイルとガソリンを混ぜた混合油、恥ずかしながら家で簡単に作る方法を知らなかった…。ネットで調べてミキシングボトルの存在を知り、さっそくホームセンターへ。やっぱりネットはすごい‼

いざ始めようとすると…
c0283938_1011993.jpg

糞害に悩まされているふてぶてしい近所の猫。
どかないと切っちゃうぞ!

c0283938_1025197.jpg

旧橋場歯科の2軒隣がたまたま知人所有の空き地で、駐車場として借してもらっています。そこでの作業。
でも飲み屋街のど真ん中で、店舗の上に住んでいる人もいる。
お隣さんに「1日だけチェーンソーを使わせてください」と了解をもらったけど、すさまじい音だ。

音が拡散するからなのか森の中では気にならなかったけど、市街地では使うもんじゃないなぁ。
申し訳なくて小さくなりながら切っていると、近所のおじさんが「気にせんくたっていいよ!小さくなってやってりゃ大丈夫だ」。さらに小さくなる。すみません。

丸太を35センチほどの薪のサイズに輪切りするのに丸一日。
チェーンソーがこれほど疲れるものとは思わなかった。
チェーンソー本体の重さや丸太を動かす労力に加えて、振動と騒音や、「ヘタしたら大けがする」という緊張感が疲労につながるのかな。今も体が痛い。歳だな…

c0283938_10564425.jpg

電動油圧の薪割り機は、大学の先輩からお借りしました。
楽チンだ!でもはてしない丸太の山。
薪割りはパカパカと軽快に割れるイメージだったけど、そんなに甘くはないですね。
節がある木はなかなか割れず、結局最後は手で裂かないといけない。
延長コードを引っぱってきた家のブレーカーが落ちてやる気を失ったり、雨が降ってきてずぶぬれになったり…心の中でブツブツ言いながら黙々と続ける。

最初は丁寧に細く割っていたけど、だんだん面倒になって巨大な薪になってくる(笑)
冬までに乾くのか心配になって森の座のK君に「こんなにでかくて大丈夫かな?」とメールすると、「基本的に1回以上割れば大丈夫です!針葉樹なら火持ちも良くなるからおすすめです」と心強いアドバイスが返ってきた。やっぱりプロに聞くのが一番だ!

徐々に進んで丸太の山より薪の山の方が多くなってくると、冬が待ち遠しくなってきた。森の恵みを利用させてもらうことに感謝しないと。

飲み屋街の空き地に突然丸太の山ができたからか、近所の方々が入れ代わり立ち代わり話しかけてくる。「何に使うだ?」「なんの木だい?」「懐かしい香りだねぇ。昔はみんな手で割ってたのよ」「トイレの芳香剤に使うからもらっていいかい?」「ケガするなよ」「あんた独り身かい?」「盗まれるなよ」…


c0283938_10571917.jpg

終了!!長かった…これで軽トラ4台分くらいかな。

薪づくりイベントで森から運んできて、輪切りにして、割って…で丸4日くらいかかった計算になる。かかったお金は燃料代等々を含めて1万円ほど。薪の状態で買えば破格の業者でも6万円ほどだったと思う。

自力でやれば時間と労力がかかる。でも木の香りに包まれて、無心で汗だくになれる時間はなかなかいいもんです。スポーツジムに通うよりよっぽどストレス発散になる。なによりチェーンソーの使い方や樹種ごとの特性などなど、薪の状態で買ってしまえばわからなかったことを知ることができた。「何でも自分でやってみよう」の日々で、確実に脳ミソのシワが増えていると思う。

c0283938_1058341.jpg

軒先にも置いてみた。うーん信州っぽくて満足だ(笑)

「薪は土用丑の日までは雨に当てろ」ということわざがあるそうで、当分は雨ざらしです。
雨にあてることで木の幹の水が通る管が開き、乾燥しやすくなるらしい。奥深いですね。

作業を終えると、お隣の居酒屋「舟」の女将さんがポカリスエットとプリンを持ってきてくれました。向かいの天壇のおかあちゃんも、丸ごとのパイナップルと飲み物を。ありがたいなぁ。

感謝感謝の日々です。
# by yagitakuma | 2013-06-14 23:44 | 伊那まち はしば | Comments(0)

森の地産地消

今日はずっと楽しみにしていたイベントに行ってきました。

改装を続けている旧橋場歯科には、カフェになるまでに薪ストーブを導入します!
厳しい冬を乗り越えるため、いまから薪の調達開始です。

c0283938_22125530.jpg

伊那市近くの森で始まった薪づくりイベント‼

主催者はNPO法人「森の座」。
伊那谷を中心に、未来へとつなぐ持続可能な森づくりに取り組んでおられます。

イベントは、森の座のメンバーが間伐を行った森で、薪ストーブユーザーが切り倒された木を軽トラなどに積んで持ち帰るというもの。今年の冬に使う薪は、夏までに原木から割った状態にして、乾燥させなければならない。冬支度はもう始まっているんです。

c0283938_22335771.jpg


標準的な一般家庭で一冬に必要な薪の量は、400束程度だそうです。
伊那では薪の状態で買えば1束だいたい400円が相場なので、一冬で16万円ということになる。
軽トラなら約6台分。
このイベントでは、どれだけ積んでも軽トラ1台分が初回3000円、2回目以降が2000円。一冬分が1万数千円で手に入る!原木から切って運んで割る手間があるけど…

僕も信大農学部時代は、森林科の実習で間伐や薪割りを経験しました。薪割りは楽しい!なのでズク出して自分で割ることにしたんです(お金もないし)。「ズク」とは「根性」とか「マメさ」とかいうニュアンスです。伊那弁です。

c0283938_2240893.jpg

会場は広大な森。2か月ほど前に切り倒された木がゴロゴロ転がっている。
軽トラを乗りつけて、原木のまま持ち帰ってもよし、貸してもらえる薪割り機で割ってから積んでもよし。

c0283938_2242293.jpg

僕のチェーンソーの歯を研いでくれる森の座の西村智幸さん。準備不足ですみません…
なにしろ十数年ぶり。エンジンのかけ方から歯の研ぎ方まで、丁寧に丁寧に教えてもらいました。

c0283938_22513929.jpg

いやー最初は手こずりました。
チェーンソーの歯が挟まって動かなくなったり、切っても重すぎて動かせなかったり…
コツをつかんで1時間奮闘。

c0283938_2255949.jpg

元大阪人らしく、スーパーのジャガイモ詰め放題のノリでどんどん積んだものの…
積み方が甘い。もっと積めるはずだけど体力の限界が…
妥協して終了。。

この日は天気もよく、小鳥の声が響く森の空気は格別でした。
会場には椅子とテーブルも用意されていて、薪の調達を目的とするだけでなく家族で弁当持参で訪れても楽しそうだ。


森の座は設立から8年。
西村さんはホームページで、「個々のエネルギーを森林へ少しでも傾けてもらえるような、「仲介者」として、森林を資源や文化として次世代へ引き継いでいく、「伝達者」として、森林と地域と人と共に、この伊那谷で営みを持っていきたいと思っています。そして今は止まっているように見える森林が、動き続けていけるような仕掛けに取り組み続けたい」と。

活動は間伐だけでなく、森の見学会や、炭焼きや木工体験会なども行っている。森と人との距離を縮めるための取り組みです。間伐材を木材として供給する取り組みも始まっています。山に囲まれた伊那谷での活動に、無限の可能性を感じます。

戦後植林された人工林はいま、間伐が行き届かない森が大半です。林業は金にならず、ヒョロヒョロになった木は木材として切り出されることなく放置されている。森林王国の長野県でも、素人が木材を買おうとすればはるばる海外から運ばれてきた外材になってしまう。僕も改装作業で張った床は、ツーバイ材を使わざるをえませんでした。金と時間をかければ間伐材を活用することもできたかもしれませんが…。もっと手軽に手に入るようになってほしいと切実に思う。

人が利用できる持続可能な森を育てるには百年単位の年月がかかる。でも日本はそれを途中で放棄してしまっている。少しでも多くの人が森に目を向けるように、森の座の取り組みを応援したいと心から思います。僕もせめて薪ストーブを通して、地元の森との接点を持ち続けたい。
# by yagitakuma | 2013-06-03 23:25 | いいね!伊那市!! | Comments(0)