菊の湯がなくなって1か月が過ぎました。
地域住民の交流の場として、そしてアルプスへの登山客に伊那で泊まって飲んで帰ってもらえるように、「やっぱり街なかに銭湯がほしい!」という思いでウズウズしてます。
同じく菊の湯ユーザーだった、森づくりキコリ集団のNPO「森の座」メンバーの金井渓一郎君(29)と、昨年末から銭湯復活に向けたプランを真剣に考え始めました。行政に頼らない現実味のある方法について、「薪ボイラーなら地域の資源を燃料に使えるよね」などと、あーだこーだと。
いろいろ調べていると、岐阜県大垣市上石津町に、住民手作りの薪ボイラー温泉施設があると知り、昨日見せてもらいに行ってきました。
伊那市にある薪ストーブ会社「DLD」の木平英一さんと、伊那谷に多くのキコリを輩出している「KOA森林塾」事務局の松岡みどりさんも同行してくれることになり、5時半に起きて出発。
眠い!
いちおう信大農学部森林科出身の僕を含め、車内はなんとなく森の香りが。道中は森のこと、山のこと、木の有効活用のことで話は尽きない。勉強になるなぁ

3時間かけて到着した温泉施設は、小さな公民館に露天風呂をくっつけた「かみいしづ温泉 湯葉の湯」。地下から汲み上げた温泉を、温め直して使っているとのこと。
あいさつもそこそこに、さっそく施設を見せてもらう。

浴槽は男女それぞれ約600リットル。2人同時にゆったりと入れる大きさ。

意外に小さな薪ボイラー。薪4束が同時に入る大きさで、オーストリアKOB社製。

お湯を作るタンク。ボイラーの熱でタンク内の3000リットルの水を熱湯にし、内部に通った配管で浴槽やシャワーの水を循環させて温める仕組み。
ボイラーは全自動で、薪を放り込んで点火すればいいだけの扱いやすさ。
水が冷たい冬場でも、10束の薪で午後1時~午後7時まで半日営業でき、30人は利用可能とのこと。ボイラーをより大きなものにするorどんどん薪を燃やすことで、より大きな銭湯にも使えるようになる。理屈はとてもシンプルで、扱いやすく、思ったより薪の使用量も少ない。これは可能性が出てきたぞ!!

木平さんと金井君のセクスィーショット。怒られるかな(笑)
とろりとしたいいお湯でした。

お風呂から出ると畳の広間でひと休みできる。地域住民の交流の場となっており、近くの山のハイキング客も訪れるそうです。
お風呂を作った地域住民メンバーの大工さんや、設備を設計したNPO「地域再生機構」の森大顕さんに、根掘り葉掘り聞きました。
かかった費用は500~600万円。露天風呂にすることで建築基準法をクリアしたことや、ランニングコストで最も大きいのが人件費であることなどなど、いろんなヒントを教えていただきました。同じ熱量を得るための燃料コストは、重油や灯油より薪の方が格段に安く抑えられることもわかってきました。
金井君の目もキラキラ。「いけそうだな!」と互いにうなずく。
帰りの車中も話は尽きず、いろんなアイデアが出てきました。
菊の湯の建物を活用させていただくのか、新たな場所で作るのか。まだまったくわかりませんが、なんとしても実現したいと思うようになってきました。
★ ★ ★ ★ ★ ★ ★★ ★ ★ ★ ★ ★ ★
薪を使えば山の再生につながり、中東に流れていた燃料代を地域で回すことができる。
中心部に風呂があれば、登山客の「風呂に入って伊那のシブい飲み屋街で山の打ち上げをしよう」という流れを作り、伊那にお金が落ちるようにできる。山で街の魅力をPRすればいいんです!
風呂さえあれば、近くでシンプルな旅行者向けゲストハウスを運営することもできる。
風呂あがりに簡単なツマミと酒で飲んでいけるコーナー(かつて近くにあった「やなぎや」のような)を作れば、客単価が上がって経営が成り立つかもしれない。加えて地域のコミュニティースペースとして喜ばれるのでは?
街角図書館的な機能を持たせてもオモシロイかも。
番台を日替わりでいろんな人に頼めば客層が広がるのでは?街の名物オバサンでもいい。有名な社長さんでもいい。有機農家の人が座って野菜を並べてもいい。月イチで市長が座れば出前市長室にできる。
風呂あがりの畳の広間で、子供がゲームをしたり漫画を読んだり。大人は酒を飲んだり本を読んだり。お年寄りが将棋を打ったりテレビを見たり。山好きな人たちが山談義に花を咲かせたり。
そんな路地の縁側のような場所にできたら最高ではないでしょうか。
やはりアイデアは雑談の中から出てくるもんですね。
「こんなアイデアはどう?」というのがあれば、ぜひ教えてください!
同行していただいた木平さん、松岡さん。湯葉の湯のみなさま。とてもとても有意義な一日でした。本当にありがとうございました(..)